釣具屋さんに行くとルアーの種類と合わせてカラーの組み合わせも豊富でどれにしようか迷ってしまいますよね。あれこれ考えて見比べているとどんどん時間が溶けていって、「あーもういつものカラーにしよう!」なんて、結局自分の中の定番カラーを買ってしまう経験も多いのでは?
ルアーカラー選びはルアーマンの永遠のテーマともいえる問題と言えます。
この記事ではルアー初心者や今一度おさらいしておきたい方に向けて、ルアーカラー毎の違い、魚からの見え方、シーン別の比較をまとめてみました!
魚は色を識別できているのか?
そもそも魚には色が識別できているのでしょうか?
もし、魚に色を識別できる能力が無ければどんなルアーカラーを使用してもほとんど違いがないってことになりますよね。
様々な研究から魚にも人間と同じように、五感(、「聴覚(音)」「嗅覚(匂い)」「視覚(色、形)」「触覚(歯ごたえ)」「味覚(味)」)を使ってエサを探したり危険を回避したりすることが分かっています。
特に、魚の「視覚」については片目の視野で約180度、両目で見ることができる前方では遠近の調節も可能で、人間に匹敵する視力、人間以上の動体視力を持っていることも分かっているとのこと。魚種にもよりますが、想像以上に目を使って獲物を探したりしているようです。
魚の目自体が良いことは分かりましたが、色彩はどの程度分かるのでしょうか?
魚類は驚きの色彩判別能力を持っている
人間などの哺乳類は基本的に3原色の赤、青、緑の3つの色を織り交ぜて数百万色の「色」として識別しています。
東京大学大学院新領域創成科学研究科 河村正二 教授らの研究によると、魚類の色彩判別は人間より2色も多い5色を判別しており、更に細かな色まで識別している。らしいのです。
「どうして魚類がそれだけ各タイプを多様化させるのかということですが、それは水中の光環境が非常に多様だということであろうと考えています。水深によっても届く光の波長がずいぶん変わってくるし、大洋とか深海溝でも違います。バイカル湖みたいな非常に広くて深く、透明度も高いような環境と、河川、ふつうの湖とか沼というところでも、透過できる波長や水深がまったく違ってきます。海ですと、だいたい400数10ナノメーターくらいの光が最も透過性がよくて、あとは吸収されたりしちゃう。目に飛び込んでくるのは残った波長だけだから、海は青っぽく見えると。湖や川の水が何となく緑っぽく見えるのは、より長波長にシフトしていて、それは植物プランクトンとかいろいろなものが混ざっているからですね」
引用:ナショナルジオグラフィック 研究室に行ってみた。東京大学 色覚の進化 河村正二第3回 魚の色覚はすごい!
陸上より、水中の方が入ってくる光が複雑で水中のプランクトンなども作用し様々な波長が混ざりやすく、複雑な光環境であることが色彩の発達に影響しているようです。
これを踏まえると、一見すると目立ちそうな細かい模様やカラフルな色も水中では大きな意味があるのかもしれません。魚から見た海中がどうなっているのか見てみたいですね!
魚はルアーのカラーを人間以上に意識している可能性
前述のとおり、種類によって差はあれど魚類の色彩認識力は高く、基本的にはルアーやライン等のカラーをしっかりと認識していると考えて良いと思います。
実際のところは魚に聞いてみないと分かりませんが…我々人が見えている以上に魚たちはルアーカラーの微妙な違いを認識しているかもしれません。
そう考えるとルアーカラーをもっと慎重に考えて選びたくなりますね。
ルアーカラーの方向性と得意なシチュエーションを意識しよう
ルアーカラーはカラーパターンやブランドによって名称に違いがあったり、微妙な違いも含めると無限の組み合わせがあります。基本的なカラーの方向性を理解することで、より適切にカラーをチョイスすることが出来るようになります。
・光量 ・・・・多いのか、少ないのか
・濁りの度合い ・・・・ 濁りがあるのかないのか
・ターゲットの活性 ・・・活性が高いのか低いのか
この3つの要素を基準に、どんなカラーがマッチするシチュエーションなのかを考えてみましょう。
ナチュラル系カラー
ナチュラルの名の通り、自然界に存在するものに近いカラーのこと。具体的には魚の背の色やエビ・カニなどの色味に似た、ブルーやブラウン、オリーブ、クリア系カラーなどが当てはまります。
自然界の生き物に似せる事で違和感を与えにくく、見切られにくい特徴を持っています。
ナチュラル系カラーのポテンシャルが活きるのは以下のようなシチュエーション。
- 光量が多いとき(晴天時)
- 潮が澄んでいるとき
- ターゲットの活性が低いとき
晴天時や濁りが無く潮が澄んでいる状況では、海中での視界が良くなるためルアーのカラーやシルエットが魚から視認されやすくなります。
そのようなときには必要以上にルアーを目立たせる必要はなく、ナチュラルなカラーのほうが違和感を与えにくいと考えられます。また、そもそもの活性が低いときには魚は積極的に自分からエサを捕食しようとしません。
そんな状況で、いかにも目立つものが自分に近付いてきたら魚は警戒して逃げてしまいます。ベイトの姿も少なく、魚の動きが乏しいような、活性が低い状況では自然界にいるものに近いナチュラルカラーを使ったほうが良いとされています。
アピール系カラー
アピールカラーとは、文字通り目立つ色でピンクやライムグリーン、蛍光カラーなどがそれにあたります。
ターゲットに気付かれやすくするためのカラーで目立つ色が採用されています。アピール系の特性が生きるのはナチュラル系とは反対のシチュエーション。
- 光量が少ないとき(曇りやまづめ時)
- 潮が濁っているとき
- ターゲットの活性が高いとき
光量が少ないときや潮が濁っているときは、当然海の中での視界は悪くなり、ターゲットから発見されづらくなります。
そんな状況では目立つカラーでそこに何かいることをアピールします。また、ターゲットの活性が高いときは、エサを奪い合っている、積極的にエサを追っているような状況です。
とにかく動くものに反応するので、なるべく目立つもののほうが釣果を得やすくなるというわけです。
その他にアピール系はナイトゲームなどでアングラー自身がルアーのある場所を認識しやすいというメリットもあります。
沖縄ルアーゲームの定番とされるアカキンカラーの効果は?
可視光の波長は、波長の短いものは吸収されにくく散乱されやすい、波長の長いものは吸収されやすく散乱しにくい、という性質を持っています。
水中に入った光は波長の長い赤い色から徐々に吸収されていき、水深が深くなるにつれ青色が残っていきます。
同じ色であれば、水深が浅いところで見える色より深いところで見える色の方が青みがかっている状態になります。
アカキンカラーの場合、背側が水中で吸収されやすいレッド、腹側が明滅の強いゴールドの配色となっています。水中ではレッド側のシルエットが目立ちにくく、ゴールドは明滅によるアピールも演出できると考えられるので
赤と金の見たままのカラーの組み合わせに反応しているというより、水中では赤部分のルアーシルエットが程よくぼかされて、小さなベイトに見えているから反応しているのかもしれません。
どちらかと言うとアピールカラー系のカラーになるのでアカキンのルアーを使用する場合、少し深めの水深or多少の濁りがある、光量が強すぎないマズメのタイミングや曇りの状況で最大の威力を発揮するかもしれませんね。
まとめ
- 光量・・・・・・・・・多いのか少ないのか
- 潮・・・・・・・・・・濁っているのか澄んでいるいるのか
- ターゲットの活性・・・高いのか低いのか
この3つを基本の条件に、どんなカラーが今のシチュエーションに合致するのか考えてみるとよりルアーフィッシングを楽しむことが出来ます。
たまたま釣れた、よりも、状況を考慮して釣った、そこに至るまでのプロセスを組み立てていくのもルアーゲームの醍醐味です。
釣具屋さんでルアーを選ぶ際は是非カラー選択も意識しながら選んでみてください!